11月上旬、ペリー来航で有名な浦賀の神社巡りを楽しんできました!まずは西叶神社(にしかのうじんじゃ)の参拝からスタート!西叶神社は、源氏再興の願いが叶ったことにより京都の石清水八幡宮から分霊した神を祀る神社です。
御由緒
西叶神社は、養和元年(1181年)、文覚上人が京都の石清水八幡宮から御祭神をお迎えしたことから始まりました。
この経緯は、文覚上人が源頼朝公のために源氏再興を願い、治承年間(1177から1180年)鹿野山(かのうざん、千葉県君津市の山)にこもりました。
鹿野山にこもる際、源氏の氏神といわれる石清水八幡宮の神に祈願し、源氏再興が叶ったら景色の良い土地を探して八幡宮を建立し、末永く祀っていくという誓いをたてました。
そして、養和元年になり源氏再興が現実的となってきたときには誓いを実現させるため、社殿を建立する場所を求めて各地を巡り、その結果、源氏再興の祈願のためにこもっていた鹿野山と東京湾を挟んで相対する、浦賀西岸に石清水八幡宮の神を祀る社を建立しました。
文治2年(1186年)には、源氏再興の大願がついに叶ったことから、叶大明神と呼ぶこととなりました。
また、叶神社は今回紹介する「西」と次に紹介予定の「東」に1つずつ同名の神社があります。
これは、元禄5年(1692年)の江戸幕府の行政政策により浦賀は東西の浦賀村に別けられたことに起因します。
もともと叶神社のあった西側は問題なかったのですが、分離によって新しく誕生した東側には鎮守社がありませんでした。
そこで、東側でも今までと同じように信仰したいとの願いから、叶神社は分霊し、東西2つになったそうです。
そういえば、以前参拝した東京都町田市の町田天満宮も、村が分かれることがきっかけで、村民の心の拠り所となる鎮守社が必要だったため分霊されたものでしたね。
行政の都合で、これまで信仰していた場所が無くなってしまうというのは、当時の人々からしたら一大事だったんでしょうねぇ…。
私も急に、「ここの神社はうちの地域のものだから、おまえは別の地域の人間だから今日からこの神社に入ったらダメ」って言われたらそこそこショックですからね…。
御祭神
西叶神社の御祭神は、次の3柱です。
- 誉田別尊(ほんだわけのみこと)
- 比売大神(ひめおおかみ)
- 息長帯比売命(おきながたらしひめのみこと)
この3柱をあわせて八幡大神と呼んでいます。
誉田別尊は応神天皇の生前のお名前で、一般的には八幡様と呼ばれることが多いですね。
八幡様は、いまでは生活に密着した守り神的ポジションですが、もともとは武神として信仰されていました。
比売大神は主祭神の妻や娘、もしくは関係の深い女神のことですが、八幡様を主祭神としている神社では宗像三女神(むなかたさんじょしん)のことを指します。
宗像三女神は、海の神、航海の神ですが、弁財天と同一視され、財福、芸能、農業の守護神となっています。
息長帯比売命は、神功皇后の別称で、八幡様の母神です。
八幡様の親神ということで、安産や子育ての守り神として崇敬されています。
参拝記録
では、西叶神社へ向かいます!
当日は友人と浦賀駅で待ち合わせして、浦賀周辺の神社をいくつか巡りました。
アクセス
西叶神社には、京急線の浦賀駅が最寄駅になっています。
浦賀駅からは京浜急行バスに乗って「紺屋町」で降りるとすぐ到着です。
今回は浦賀周辺の電車やバスを多用することを予想して、三浦半島1DAYきっぷを購入してみました。
以前、艦これのイベントで横須賀や三浦半島を巡った時には、こういったフリーパスを使わずに普通料金で電車バスを利用してしまい、ちょっと損したかなぁ…と思っていたので、今回はしっかりと利用しておトクにめぐっちゃお!という魂胆です!
ただ、バスがちょうどいい時間に来ず、しかも浦賀駅から歩いても15分ぐらいで行けそうだったので、健康的に歩いちゃったんですよね…w
このパスの他にも三浦半島の交通機関をおトクに利用できるパスがあるので、ご自身の予定に合わせて検討してみてくださいね。
鳥居
というわけで西叶神社の鳥居前に到着しました、徒歩で。
鳥居は道路に面していて、現在は工事していた関係でフェンス越しの写真になってしまいました。
ガードレールとフェンスの間は歩ける幅が無く、すれすれに立つとたぶん轢かれるんじゃないかなーと思います。
鳥居側に渡り、社号標をチェック!
シンプルに「叶神社」と彫られています。
西叶神社という呼び方は、対岸の東叶神社と分けるための俗称なんでしょうかね。
横須賀市が運営する観光サイトには西叶神社と表示されていますが、叶神社のHPや御朱印には、西叶神社という表示はありません。
こちらの鳥居は第一の鳥居で、第二の鳥居の間は駐車場になっています。
気になったのは鳥居すぐ横のこちらの歯医者さん、浦賀ペリー歯科!
浦賀といえばペリー来航が有名で、むしろ私は浦賀に初めて来たのでそれくらいしか知識がなかったのですが、いくらなんでもストレートすぎるネーミングw
近所に住んでいたら一度は治療うけてみたいです、インパクトって大事ですよね。
こちらが第二の鳥居です。
鳥居の扁額は叶神社の表記です。
それにしてもいい天気で雲ひとつなく、絶好の神社参拝日和でした。
第二の鳥居の手前、手水舎で忘れずにお清めを。
こちらの手水鉢は、水が鉢の底から湧き出てくるタイプですね。
社殿周辺
階段をあがって社殿へ向かいます!
階段下から見上げるアングルもなかなか良いですね。
階段をあがった左右には狛犬がいます。
でも、この狛犬は他の神社とはちょっと違うんですよ。
一般的な狛犬は片方が口を開けた状態「阿」、もう片方が口を閉じた状態「吽」、左右揃って「阿吽(あうん)」を表しています。
阿吽というのは、一般的には「阿吽の呼吸」などの使われ方が多いんですが、もともとはインドのサンスクリット語で、宇宙の始まりと終わりを意味しているそうです。
ちょっと話がそれましたが、なんと西叶神社の狛犬は、左右とも口を開けた、「阿」の状態となっているようにみえます。
逆に、対岸の東叶神社の狛犬は、左右とも口を閉じた「吽」の状態にみえることから、叶神社の狛犬は西と東でセットになっていると考えられているそうです。
さらに西叶神社の狛犬の横の柵には、ひょこっと顔を出す子供の狛犬がいました。
いやぁ、かわいいですねぇ…。
社殿
社殿に近づいてみます!
こちらの社殿は、天保13年(1842年)に再建されたもので、再建にかかった金額はなんと三千両!
いまの金額に換算すると、2億円以上!(1両はだいたい75,000円ぐらいらしいです)
そのおかげで火災によって消失してしまった以前の社殿にも勝る立派なものとなったそうですよ。
西叶神社の社殿は、再建の際に造られた、細かく美しい彫刻が特徴です。
この彫刻は、後藤利兵衛義光という安房(千葉県房総半島の下の方)の代表的彫刻師の作品です。
西叶神社の彫刻は、彼の生涯を通しての最高傑作と云われています。
拝殿に掲げられた扁額の天井をみると、花鳥彫刻と呼ばれる美彫刻が並んでいました。
松に鶴、竹に雀など、ひとつひとつが花と鳥を組み合わせた彫刻となっています。
ずっと見ていたい気持ちになりますが…、上を見続けて首が痛くなりそうなのと、場所的に他の参拝者さんの邪魔になりそうなので、時々チラッとみるくらいにとどめましたw
どんな組み合わせの彫刻があるのかは、公式HPで確認できますよ。
社殿から振り返って鳥居側を眺めてみました。
俺、次は海を挟んで対岸にある、東叶神社にいくんだ…!
西叶神社の絵馬は「叶」という文字が書かれたものです。
叶神社はもともと、文覚上人の願いが叶ったことに由来してできた神社ですからね、願掛け効果はすごそうですね…!
摂末社
社殿からむかって左側には摂末社が鎮座していました。
こちらはの赤い鳥居のほうは老山福寿稲荷社、その横の祠は…わかりませんでした…。
こちらは福寿弁財天です。
お賽銭箱と橋の先には扉があり、そこに弁財天様がまつられているんでしょうか?
こういう扉、ちょっとRPGゲームっぽくてワクワクしますよねw
橋を渡って近づいてみたかったんですが、柵もあって立入禁止のような感じだったので断念。
こちらの石造りのお賽銭箱、中に水が溜まっていて、チャリンという音ではなく、ポチャって感じでしたw
こういう仕様なのか、たまたま雨水がたまってただけなのか…。
社務所
ひととおり参拝したので、社務所へ向かいます。
社務所方面には、明治天皇が境内で休憩されたことの記念碑がありました。
こちらの碇は、航海安全を願って、海洋画伯の飯塚羚児氏が奉納したものです。
社殿はこちらです。御朱印やお守りはこちらで。
社務所の入り口には立派な鏝絵(こてえ)が飾られていました。
こちらの鏝絵の詳細は、横須賀市の観光情報ページに載っていました。
石川善吉の昭和5年の作品です。左側には水瓶を割る子、右側には割れた水瓶より流れる水の中から童子が顔を覗かせ、助けられた一瞬の出来事を漆喰で表現しています。ふっくらした丸い顔、いきいきとした漆喰細工は、名人「三浦の善吉」の装飾壁の傑作です。
横須賀市公式HPより引用
子どもたちが遊んだりふざけている様子かなーと思っていたんですが、助けが必要になるような、わりと切羽詰まった状態だったんですねw
東叶神社へ向かう
西叶神社をひととおり堪能した後は、「浦賀の渡し」と呼ばれる渡し船に乗って対岸へ向かいます。
利用料はこの通り。高校生以上は200円で利用可能です。
自転車は50円で積み込み可能で、当日も何人かロードバイク乗りの方もいらっしゃいましたね。
浦賀のある、三浦半島を自転車で走ったら楽しいでしょうねぇ…、ちょっとやってみたいです。
乗船して対岸へ!乗船時間は2~3分です。
なお、この航路は浦賀海道と名付けられていて、横須賀市の市道2073号線となっている、珍しい水上の市道です。
乗船して右側をみると、遠くに千葉県、房総半島が見えてきます。
文覚上人がこもって祈願していた、君津の鹿野山が見える方角ですね。
御朱印
こちらが西叶神社の御朱印です。
叶神社の文字が大迫力でかっこいいですね!
西か東かは直接記載ありませんが、相州浦賀町宮下の印で判断できます。
はさみ紙もいただきましたが、もう11月なのに夏詣バージョンw
夏の余りかな…ちょっとラッキーでしたね!
ちなみに夏詣というのは、年越し初詣の他にも神社に親しんでもらいたいということで、東京浅草にある浅草神社が提唱し始めた新しい風習です。
叶神社では、勾玉お守りもいただきました!
色は透明(水晶)、赤(メノウ)、緑(ヒスイ)で、それぞれ500円でした。
東叶神社には勾玉をいれる袋があるので、セットでいただきたいですね。
キレイだったので思わず買ったんですが、縁結びご利益があるそうですよ。
所在地等
所在地 神奈川県横須賀市西浦賀1-1-13
アクセス情報等
- 京急線「浦賀駅」から京浜急行バス(京急久里浜駅行、JR久里浜駅行)「紺屋町」下車
- 京急線「久里浜駅」から京浜急行バス(浦賀駅行)「紺屋町」下車
- 駐車場有り
- 電話番号 046-841-0179