満開の梅を楽しみたくて、沼津御用邸記念公園(ぬまづごようていきねんこうえん)へ行ってきました!こちらは名称の通り、かつては天皇陛下をはじめとした皇族方のための邸宅として使われていたものです。昭和44年からは沼津市が管理し、記念公園として利用されています。また、施設内には梅園があり、例年2月下旬~3月上旬が見ごろです !
沼津御用邸記念公園
沼津御用邸の歴史について紹介していきます。
沼津御用邸は、明治26年(1893年)に大正天皇(当時は皇太子)の御静養先として本邸が建てられました。
その後、御学問所として東附属邸が建てられ、さらに、幼かった昭和天皇のお住まいとして西附属邸が建てられました。
そして、本邸は昭和20年(1945年)の沼津大空襲によって焼失してしまいます。
幸いにも東西の附属邸は焼失を免れて、本邸に代わって御用邸として使用されていました。
環境変化や施設老朽化を要因として、昭和44年(1969年)に沼津御用邸は廃止され、昭和45年(1970年)からは沼津市の管理となって、沼津御用邸記念公園として整備されました。
平成5年には、建物のいたみも目立つようになったため、建物改修と庭園の再整備が沼津御用邸造営100周年に合わせて本格的に行われ、平成10年まで約5年をかけて全面改修しました。
改修は素材やデザインについては可能な限り原形に忠実に再現し、建具や照明器具や家具に至るまで、さまざまな資料を参考にして復元したそうです。
そうですよね、改修したものの元の状態とかけ離れていては興ざめですもんね。
さらに平成28年(2016年)には、沼津御用邸記念公園の一部の景観が、旧沼津御用邸苑地として国の名勝指定を受けています。
梅園の歴史
沼津御用邸の西附属邸のすぐ隣には、天皇陛下が皇太子殿下だった頃の御成婚記念として整備された梅園があります。
私はこの梅を観賞したくて今回、沼津御用邸を訪れました。
園内には以前から梅の林がありましたが、その梅林を生かしつつ、新たに植樹したものを加えて10種類、50本以上の梅園として整備されています。
園内になぜもともと梅林があったかというと、これは大正天皇の漢詩「歳朝皇子ニ示ス」にちなんでいます。
その中では、梅の強さ美しさをうたい、日々新しく成長する人になるようにとの教えが書かれていました。
沼津御用邸は大正天皇の御静養のために建てられた経緯があるので、それにちなんで梅の木が植樹されているんですね。
訪問記録
アクセス
では、沼津御用邸記念公園へのアクセスから!
沼津御用邸記念公園にはJR線沼津駅からバスで向かいます。
ちなみに、徒歩でいこうとすると1時間ぐらいかなーと思います。
徒歩で行こうかなとも思ったんですが、道中はほとんど市街地なのでバス使いました。
自然あふれる散策路だったりすれば喜んで歩くんですけどねw
私は2番乗り場の伊豆箱根バスに乗車し、乗車賃は300円でした。
なお、令和3年4月以降はこちらの乗り場に変更になります。
4月以降は、3番乗り場が御用邸方面へ行くルートが多くなるようです。
御用邸バス停で下車したらすぐ目の前に案内がでているので、それに従って歩くと3分ぐらいで入園口に到着です。
入園口・受付
こちらが沼津御用邸記念公園の入園口です!
入園受付はこちらの建物で行っています。
入園・観覧料はつぎのようになっています。
入園のみ 大人100円 小中学生50円(幼児は無料です)
観覧料込 大人410円 小中学生200円(幼児は無料です)
団体料金(30名さま以上)
入園のみ 大人60円 小中学生30円(幼児は無料です)
観覧料込 大人260円 小中学生130円(幼児は無料です)
※観覧料をお支払いいただくと西附属邸の中を見学できます。
沼津御用邸記念公園公式HPより引用
園内に入るだけなら大人一人あたり100円ですが、西附属邸の内部を観覧するには410円の観覧料込のほうが必要なので注意しましょう!
受付を済ませてすぐ、ラブライブ!サンシャイン!!のポスターがありました!
沼津といえば、いろいろな店舗や施設がアニメ、ラブライブ!サンシャイン!!とのコラボを実施して賑わっていますが、沼津御用邸記念公園もコラボに参加しています。
扉の先は、お土産コーナーになっていて、御用邸ならではのお菓子やハンカチ等のグッズを取り扱っています。
御用邸記念公園は、ラブライブ!サンシャイン!!の沼津まちあるきスタンプの対象にもなっています。
こちらでいただけるスタンプは着物姿のダイヤさんです。
うんうん、ダイヤさんは御用邸の雰囲気にマッチしていますね。
今回はうっかりスタンプラリー帳を忘れてきてしまったので、入園チケットの裏に押してみました。サイズぴったりw
梅園
お土産コーナーをぬけて、梅園に向かいます!
実は、御用邸記念公園は以前来たことがあって、梅の時期に来たいなーと思っていたんです。
昨年のこの時期は、新型コロナは正体がわからない未知のウイルスのような状態だったのでうかつに来れませんでしたからね。ついに念願かないました。
建物から出て右側すぐに梅園があります。
梅の時期は、茶席が設けられていて、ゆっくりと座って梅を楽しむことができます。
ちょうど梅の見ごろで、紅や白の梅がとてもきれいでした!
普段の生活ですさんだ心が癒されるようです…。
まだ開園直後でほとんど人もいないので、せっかくなのでゆっくりと深呼吸しました。
いや~、空気がうまい!
このご時世、街中では満足に深呼吸もできないですからね。困ったもんですよね…。
梅の時期の土日祝限定で、抹茶や和菓子をいただくことができます。
令和3年は2月6日から3月7日の約1か月実施されていました。
私は御抹茶セット(500円)をいただきました。
梅を楽しみながら抹茶や和菓子をいただく…、風流ですね、雅ですね。
普段はけっこうジャンキーなもんばっかり食べてたりするので、もう三十代半ばですし、時にはこういった落ち着いたものも楽しみたいですね。
何気なく見ていたんですが、御用邸記念公園内にはこういった垣根があり、こちらは沼津垣と呼ばれるものです。
沼津垣は、沼津周辺の潮風を防ぐために江戸時代以前から用いられてきた手法で作られた垣根で、浮世絵にも描かれているそうです。
たしかに、今回園内を散策していて、潮風がとんでもなく強かったんですよ。
潮風対策で海沿いに松も多く植樹されていますが、潮風が強すぎてどの松も陸側に傾いて育っていました。
松林や沼津垣で、御用邸建物の暴風被害を防いでいたんですねぇ。
西附属邸
梅園を堪能した後は、西附属邸にお邪魔してみます。
昭和20年7月の沼津大空襲で本邸が焼失した後は、こちらの西附属邸が本邸の役割を果たすようになって、多くの皇族方に利用されてきたそうです。
現在は誰でも入れる資料館のような施設となっていますが、かつて天皇陛下をはじめとした皇族方が過ごした邸宅ですからね、少々緊張します。
自然と、足音を立てないような歩き方になってしまいますね。
こちらは謁見所といって、西附属邸では最も公式な部屋となります。
かつてこちらで天皇陛下と、政府高官や外国の要人がお話をされていたんでしょうね。
写真右側の赤い椅子が天皇陛下の使用していた椅子で、ひじ掛け部分を始めいたるところに菊紋が金の高蒔絵で装飾された豪華なものです。
こちらは御食堂。皇族のお使いになる物や部屋にはほとんど「御」がつきます。
ビリヤード部屋とは言わず、御玉突所(おたまつきしょ)と呼ばれる部屋です。
明治時代はビリヤードは上流階級の社交レジャーとして人気だったそうです。
私はビリヤード、やったことないんですよね。庶民なのでw
御座所(ござしょ)は、皇室の方々の居住部分だった建物で、こちらは居間部分ですね。
謁見所や御玉突所のあった部分とくらべると、少しだけ豪華感を抑えて生活感のある印象がありました。
御座所は他にも御寝室、御着替所から成り立っています。
ひな祭りも近いので、期間限定でお雛様が飾られていました。
私は兄弟は男しかいないので、お雛様を見る機会ってあまりなかったんですよね。
せっかくなので、それぞれの時代ごとのお雛様をじっくりと見させてもらいました。
喫茶主馬
西附属邸をでて歩いて2分ほど、こちらは喫茶主馬(しゅめ)とよばれるカフェです。
もともとは御用邸時代に主馬(厩舎)だった建物を改造して設けられています。
庭先の景観を楽しみながらお団子や抹茶、軽食を楽しめるんですが、新型コロナの影響でしょうか?現在は休業中です…、残念。
歴史民俗資料館
園内には沼津歴史民俗資料館という建物があります。
資料館内には、沼津近海での漁業の手法紹介や当時使っていた道具が展示されていました。
東附属邸
資料館からさらに先に進み、東附属邸へ向かいます。
松林のなかに、本邸御湯殿跡が残されていました。
空襲で焼失する前は、このあたりが本邸だったことがわかります。
東附属邸にはいったん外にでることになり、西側に戻りたいときはこちらのゲートは使えません。
西側に戻るには塀にそって最初の入園口まで徒歩10分ほどかけて戻ることになります(もちろんチケットを見せれば再入場可能です)。
こちらが東附属邸となります。
東附属邸は、昭和天皇の御学問所とすることを目的として、赤坂離宮にあった建物を移築したものです。
昭和45年に記念公園となった後は、御学問所だった伝統を生かして、日本文化を学ぶ研修所として利用されていました。
現在でも、茶道、華道、和歌、俳句などの日本文化の研修所(有料・予約制)としての役割を維持しつつ、結婚式場や食事会の場としても利用されています。
当日は結婚式が行われるようで建物内に入ることができなかった(そもそも予約してないですし)ので、周りをぐるっと散策してみました。
松林と日本庭園の中に、歴史ある木造の屋敷。落ち着く風景ですよねぇ…。
東附属邸の庭園の一部には、駿河待庵(するがたいあん)と呼ばれる建物があります。
待庵とは千利休が作ったとされる国宝茶室のことで、駿河待庵はそれを模したものとなっています。
こちらも、茶道などの研修施設として利用されています。
所在地等
所在地 静岡県沼津市下香貫島郷2802-1
アクセス他
- JR「沼津駅」から伊豆箱根バスで15分、「御用邸」バス停下車
- 東名沼津インターから車で約30分
- 駐車場あり(乗用車は無料・バスは有料)
- 電話番号 055-931-0005