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大しめ縄の鳥居を見に行く!【奥戸天祖神社】へ参拝

東京都葛飾区の奥戸天祖神社(おくどてんそじんじゃ)へ参拝しました。奥戸天祖神社では、毎年10月に大しめ縄神事という、葛飾区の無形民俗文化財第一号となる民俗行事が行われています。さらに、そこで作られた大しめ縄は鳥居にかけられ、社殿正面の鳥居は上部が大しめ縄となっている珍しい形となっています。

 

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御由緒

奥戸天祖神社は、鎮座地の周辺が葛西御厨(かさいのみくりや)と呼ばれていた頃に創建されました。

伊勢の神様を勧請し、さらに下総(千葉県北部と茨城県南部の旧国名)の香取と鹿島の神を勧請して三社明神と称し、村の鎮守様としました。

葛西御厨は、永万元年(1165年)に葛西城の葛西清重が領地を伊勢神宮に寄進して成立したとされていますので、創建はそれ以降ですね。

なお、御厨とは神様の台所という意味で、神饌を調達する場所のことをいいます。

奥戸地域はかつては水田が多くあった歴史があるそうなので、神饌として米を奉納していたのかなと思います。

御祭神

奥戸天祖神社の御祭神は、伊勢神宮の天照大神(あまてらすおおみかみ)と鹿島神宮の武甕命(たけみかづちのみこと)と香取神宮の経津主命(ふつぬしのみこと)の3柱です。

かつて神宮の社格は、伊勢の神宮、香取神宮、鹿島神宮の3社だけでしたが、奥戸天祖神社ではこの3社の神を祀っているんですね。

天照大神は日本神話の最高位の神で、太陽の神とされています。

武甕命と経津主命はともに武神で、日本神話では、天照大神の命を受け大国主命と交渉し、日本の国土を譲り受けるという功績があります。

大しめ縄神事

奥戸天祖神社で行われる行事について紹介します。

奥戸天祖神社では、例大祭前日の毎年10月第三土曜日に、5mほどの大きなしめ縄を作りあげ、鳥居にかけ替えるという、大しめ縄神事という民族行事を行っています。

御由緒でも紹介したように、かつて奥戸地域は水田が多い農業が盛んな地域だったので、大しめ縄を作り、宴会を催し、農業の豊作を祈るための行事です。

この大しめ縄神事は、葛飾区の無形民俗文化財第一号に指定されている伝統のあるものとなっています。

大しめ縄の材料となる稲の藁は、かつては奥戸地域は水田が多くあったため氏子さんが持ち寄って材料とすることができましたが、水田が無い現在は、千葉県の農家から藁を譲り受けています。

大しめ縄神事は、朝から夕方までの1日がかりの行事です。

大しめ縄の芯となるのは竹で、藁の束を括り付けるようにして作っていきます。

文章にするのは簡単ですが、藁を綯うのにも農業の長年の経験が必要ですし、藁の束を縒っていくにも大勢で力をこめて行うという、大変な行事のようです。

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葛飾区史HPより引用

夕方になると、完成した大しめ縄をかついで神社の周りを1周した後、いよいよ鳥居にかけられます。

この大しめ縄神事は、江戸時代の終わりごろから内容が何度か変化していて、特に大きく現在と異なるのは、雌雄で対になるように大しめ縄を2本作っていたことです。

昭和20年代ごろまでは、雌雄の蛇に見立てた大しめ縄を2本作り、かつて境内にあった榎の大木に縒り合わせるようにかけていました。

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葛飾区史HPより引用

これは、かつての大しめ縄神事の様子を表した絵馬ですが、社殿の横に大きな木が描かれています。

この大木に、2本の大しめ縄を縒り合わせてかけていたんでしょう。

時代や地域の様子によって変化する風習、仕方なく変わってしまうような場合もあるんでしょうけど、こういう変化って興味が湧きますよね。

 

参拝記録

アクセス

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今回私は、五方山熊野神社から歩いて奥戸天祖神社へ向かいました。

正面鳥居の前の大通りからまっすぐに進んでいきます。

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奥戸橋という大きな橋を渡ります。

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車道は危ないので、階段から登りましょう。

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橋の上からは街並みも良く見えますし、風通しも良いので気持ちいい…。

このご時世では有難い、都会の中の深呼吸スポットですね~。

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橋を渡った対岸には、葛飾区の総合スポーツセンターがあります。

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スポーツセンターの建物・敷地に沿って大通りをまっすぐ進みます。

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道路沿いに鳥居を発見、こちらが奥戸天祖神社の鳥居ですね。

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しかし、こちら側は正面の鳥居ではないようなので、迂回して正面の鳥居方面へ。

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先ほどの鳥居から1分、正面の第一鳥居に到着!

私は今回は五方山天祖神社から来ましたが、京成線青砥駅から直接来るとしたら、徒歩で20分ほどだと思います。

大しめ縄の鳥居

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社殿の目の前にあるこちらが、葛飾区の無形民俗文化財第一号となっている神事で作られた、大しめ縄の鳥居です!

珍しい造りをしていますね、鳥居の笠木(上部)が丸ごと、大きなしめ縄になっています。

こちらの大しめ縄は、毎年10月第3週土曜日にかけ替えているので、参拝した10月末はまだかけ替えて間もない新品ピカピカの状態でした。

いい時期に参拝できました。

社殿

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奥戸天祖神社の社殿はこちらです。

何度も再建修復が行われ、現在の社殿は昭和49年(1974年)に造営されたものです。

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社殿の横側から、本殿部分も見えました。

御神木

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社殿の横には、しめ縄が巻かれた大木の跡がありました。

こちらがおそらく、かつての大しめ縄神事で2本の大しめ縄をかけていた榎の木ですね。

幹が途中で切られて保護されていますが、これは風雨で折れてしまったんでしょうか。

もしくは傷んでしまって危ないので仕方なく切ったのかもしれませんね。

摂末社

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境内には、6つの石祠がおかれていて、それぞれ諏訪神社御岳神社浅間神社大六天社風雨神社出羽三山神社となっています。

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稲荷社も鎮座しています。

こちらの稲荷社は従来からこちらに鎮座していましたが、手前に配置された狐像は、今年3月に閉鎖された近隣の森永乳業東京工場から移されたものとお聞きしました。

誰に聞いたのかというと、参拝当日に境内を清掃していた気さくなおばさまからです。

狐像の事だけでなく、大しめ縄の事などいろいろと教えてくださいました。

あらためて、ありがとうございました。

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こちらは令和御大典記念の樹木で、今上天皇の即位を記念して令和元年10月に植樹されたものです。

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裏側の参道に狛犬が置かれていますが、こちらは江戸時代に造られた狛犬なのだそうです。

この情報も、境内清掃のおばさまが教えてくださいました。

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狛犬の台座に長右衛門さんというお名前が刻まれていますが、この方が江戸時代の石工なのだそうです。

御朱印

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奥戸天祖神社の御朱印はこちらです。

御朱印にも、大しめ縄神事が葛飾区の無形民俗文化財第一号であることが示されていますね。

御朱印は境内の社務所でいただくことができますが、社務所にはどなたかが常駐しているわけではなく留守の時もあるようなので、事前に確認してから参拝がおススメです。

 

所在地等

所在地  東京都葛飾区奥戸2-35-16

アクセス他

  • 京成線「青砥駅」から徒歩20分
  • 京成線「京成立石駅」から徒歩18分
  • JR線新小岩駅から京成タウンバス(亀有駅行)乗車、「奥戸三丁目」バス停下車、徒歩2分
  • 新小岩駅から「天祖神社」バス停を経由するバスがありますが、これは別の天祖神社(上平井天祖神社)なので要注意
  • 駐車場なし
  • 電話番号 03-3692-9107